国内外を問わず多くの観光客が訪れる東京・谷中。活気あふれる商店街、昔ながらの町家、路地裏にたたずむ老舗や伝統を受け継ぐ職人の店など、今も下町情緒が残る散策に人気のエリアだ。Hiroyukiさんは、そんな谷中の町で100年ほどの歴史ある銭湯を営んでいる。
「みんなが一緒に風呂に入る銭湯の文化をおもしろがってくれるゲストの方が多いです」とHiroyukiさん。「でも、下町の銭湯はお湯が熱いんです。なかにはお湯が熱過ぎて湯船に入れなかったという人もいましたね」。リスティングは銭湯の上階にあるため、何かあればすぐにHiroyukiさんが駆け付けてくれるというゲストにとっては安心の環境。実際にゲストがケガをしたときには迅速に対応できたそう。
Hiroyukiさんがホスティングを始めたのは2015年12月。延べ50組ほどのゲストを受け入れ、そうじなど以前の生活に比べてすることは増えたが、「ゲストはみんなきれいに使ってくれています」と言う。部屋の使い方ひとつをとっても、お互いへの信頼から成り立つAirbnb(エアビーアンドビー)の特徴が表れている。
旅先でB&Bに泊まったときにオーナーとの距離の近さを感じ、自宅を開放するというスタイルに興味をもったのも、ホストになった理由のひとつ。「旅をするなかで、日本でも外国人と触れ合いたいとも思ったんです。自分が行ったことのある国のゲストと現地の話で盛り上がったりもしますね。色々な国の人が来て、その土地のことを知ることができるのは、本当に楽しいんです」。
昔から庶民の憩いの場として愛されてきた銭湯。今、Hiroyukiさんのリスティングには、世界中から憩いを求めてゲストがやってくる。
全長175mの通りに70の店舗が軒を連ね、観光客でにぎわう谷中銀座商店街はリスティングからすぐ。周辺には昔からある路地も多く、食事処や飲み屋などの名店が点在していておすすめだそう。
リスティングは銭湯と同じく100年ほど前に建てられ、かつてHiroyukiさんが住んでいた家をリフォーム。「小さいときから長年暮らしていたところに色んな国の人が来てくれるのは感慨深いです」。
建築当時の梁を残したベッドルームはゲストにも好評。木に合わせ茶色のリネンや間接照明が落ち着いた雰囲気を演出。隣にはテーブルと座布団を置いたくつろぎスペースもある。
ゲストにも銭湯を楽しんでもらえるようにと、番台で見せれば何度でも入れるフリーチケットを用意。マナーなどが英語、中国語、韓国語で書かれたパンフレットも渡している。
曾祖父が銭湯を開業し、Hiroyukiさんは4代目。もともとプロの格闘家で趣味はサーフィンというスポーツマンだ。週に2回は湘南に行って波を楽しみ、海外旅行先は必ず海のある場所を選ぶほど海が好き。
ゲストに誘われて食事に出かけることもしばしば。ゲストは旅好きな人が多く、英語が流暢でなくても話が合うため話題には尽きないが、「もう少し深く話したいと思うことも多いです」とHiroyukiさん。
1900年ほど前に日本武尊が千駄木の地に創祀したと伝えられる神社。つつじの名所としても有名で、春になると約100種3000株が咲き、4~5月初旬にはつつじまつりが開催される。「境内にある乙女稲荷には、たくさんの鳥居が並んでいてとてもきれいです」。
Hiroyukiさんの学生時代の通学路にあり、毎日見ていたというヒマラヤ杉は、地元の人に愛される町のシンボル的存在。隣に建つみかどパンの初代店主が戦前に植木鉢で育て始めた木が大きくなったもので、台東区の保護樹木に指定されている。
家庭で作るような素朴な味わいが評判の手作りパイの店。定番のほか季節限定など、10種類以上を扱っている。素材にこだわり、人気No.1のアップルパイは季節によってリンゴの種類を替えるほど。写真はリンゴをふんだんに使った「アップルパイ」。
住所:東京都台東区谷中3-8-7
TEL:03-3822-8166
ひとり旅中に現地で困ったときに助けてもらったり、仲間に交ぜてもらったりして、今度は自分が外国人の助けができたらと思ってはじめました。
部屋を見て喜んでくれたとき、銭湯に入った感想を言ってもらったときはとてもうれしいです。たくさんの外国の人と触れ合えるのも楽しいですね。
ラーメン好きな人が多く、おすすめのラーメン店を教えると、一緒に行かないかとよく誘われます。
英語が話せないと気にすることはありません。ゲストから言われることはだいたい決まっているので、単語だけでもコミュニケーションを取ることができますよ。