義二郎さんがホスティングを始めたのは2015年10月。その前の半年間は、他のホームシェアリングサイトを通じて無料で海外の旅行者を受け入れていたそう。「外国の人と交流できるのは楽しく、とりわけ日本の生活習慣や食文化等に興味を持ってくれることに手ごたえを感じるようになりました。しかし、旅行者がより快適に過ごせるようにと思って提供していた、朝食、送迎、冷暖房等の費用が次第に負担になっていくのを感じました。けれど、今後も続けて海外の旅行者を受け入れたいと思っていました。ちょうどその頃、テレビでAirbnb(エアビーアンドビー)のことを知ったのです」。
今までと同じことをしてギブ&テイクの関係が維持できるならば……と、すぐにAirbnb(エアビーアンドビー)に登録。最初は料金設定に悩み、なかなか思い切れなかったという義二郎さん。しかし、最初のゲストの中国人男性が、和室や庭などいろいろなことに興味を持ってくれたことがうれしかったという。「外国人の方から見ると、日本の家屋って魅力的みたいですね。都市部に住む方はマンション住まいが多いので、いつか庭のある一軒家に住みたいという憧れも強いみたいで。畳や布団、障子を開けて見える和風の庭にすごく喜んでくれます。自分に今あるものが、外国の人には喜んでもらえるものだと改めて気づかされました。一日中部屋から庭を見ていたい、とまで言われたこともあります(笑)」。
英語の勉強を本格的に始めたのは定年退職後。「定年退職後は、今まで全くやったことのないことをしたほうが、からだと心の健康にいいそうですよ」と楽しそうに語る義二郎さん。Airbnb(エアビーアンドビー)を始めたことで、英会話での交流ができ、海外の生活を学べ、日本の文化を伝えられる。「脳が活性化している人生の方が面白くなりますね。ゲストと一緒に観光することもあります。特に伏見稲荷のガイドをすることが多いですね。2020年の東京オリンピックのときに京都全般のガイドができるようになることが目標です」。
自宅がある枚方市は、大阪・京都・奈良のほぼ中間に位置。交通の便がいいとは言えないが、ゲストから高評価のレビューが多く、スーパーホストにもなっているため大体いつも満室。荷物があるときは、必ず最寄りのJR長尾駅、松井山手駅や京阪樟葉駅まで車で迎えに行っている。
共有スペースのリビング。今まで夫婦で旅してきた国がチェックされた世界地図や、奥様の描いた水彩画、写真などで壁を飾っていて、まるでギャラリーのよう。
二人が座っている縁側の奥の部屋がリスティングとして登録している場所。和室から見える、風情あふれる庭がゲストから大好評。業者に頼まず、池や竹の囲いなどすべて義二郎さんのDIYによるもの。今後は、庭園が映える間接照明を投入しようと考えているそう。
これまで50カ国ほど行ったことがあるという大の旅好き。旅先で購入した雑貨が飾り棚にぎっしり。英語が話せなかったときでも、臆することなくレンタカーを借りて奥様と一緒にヨーロッパを周遊したそう。イギリスの湖水地方で同世代夫婦のB&Bに宿泊したことが心に残っており、旅行者を受け入れるきっかけに。
以前ピースボードに乗る前に何か新しいことを習得しようとはじめたマジック。ピースボートではマジックショーをしたり、マジック教室を開催したりしていたとか。現在はゲストとの朝食タイムに披露することもあると義ニ郎さん。
長期滞在のゲストには、たこ焼きパーティやお好み焼きパーティなど夕食に誘うことも。旅先での遠慮や緊張から食事がファストフードになってしまった、というご自身の経験も多いことから、できるだけローカルフードを体験させてあげたいという。
代官山、湘南に続く3店舗目のT-SITE「枚方T-SITE」は、地上8階、地下1階建てで、総面積5314坪と過去最大規模を誇る。高さ7メートルの書架が圧巻の4・5階吹き抜け空間では、ソファに座ってゆっくり本を読むことができる。「最寄りのバス停から1本で行けるので、ゲストの方は大抵行かれますね」。
住所:大阪府枚方市岡東町12-2
TEL:072-861-5700
福岡市に本社を置く、天然とんこつラーメン専門店。カウンター各席に仕切りがある“味集中カウンター”や、味や麺の硬さなどオーダー用紙を使う注文などユニークなシステムがあるのも人気。「日本に来たら食べてみたかった」という中国系のゲストの方が多く、連れて行ってあげることが多いそう。
住所:京都府八幡市八幡南山106-3
TEL:075-981-3100
リスティングから程近い公園。大きな岩がたくさんあるので、通称“岩公園”と呼ばれている。住宅街にあるので、学校が終わる時間には小学生の楽しそうな声が聞こえる。「歩いて3、4分の距離なので、子供連れのゲストが来たらおすすめしたいです」。
やっぱり「家にいるように過ごせた」とか「ありがとう」と言ってもらえた時です。この歳になると、日常生活の中で、なかなか「ありがとう」と言ってもらう機会もなくなっていくので…。日頃から英会話ができることもうれしいです。
自分にとっては当たり前だった、和室や縁側、庭が日本の文化として役に立っていることに気付いたので、よりゲストが喜んでくれるようにDIYに力を入れるようになりました。
自分が海外旅行中に、宿泊先を見つけるのに時間がかかり不安になった経験があるので、そうならないように常に安心感を与えてあげたいと思っています。特に荷物を持っての最初の日の移動は、少しの距離でも大変なので、駅に着く時間に迎えに行ったり、ゲストの移動日の効率のいいルートを一緒に考えてあげたりしています。
先日、3人の中国人女性の方達が宿泊されたのですが、自分たちでスーパーに食材を買いに行き、夕飯を作ってくれました。こういう交流をもてるのがAirbnb(エアビーアンドビー)の魅力だと思います。
英語は上手に話せなくても大丈夫。勉強がてらやってみればいいと思います。どんなゲストにも偏見を持たずに、もてなす気持ちさえあればOKです。Airbnb(エアビーアンドビー)なら安心してホストができるので、同世代の人も是非やってみて欲しいです。