マイホーム

ホストもゲストも、猫も幸せな、
これからのホームシェアリングのかたち。

東京都 Kazuhiroさん

2020年2月11日取材

目黒区の住宅街にある一軒家で、2匹の猫と暮らしているKazuhiroさん。Airbnb(エアビーアンドビー)のホストになってから現在まで、常に好評なレビューを獲得し、国内外にリピーターを増やし続けている。なかには宿泊せずともKazuhiroさんに会うために再訪するゲストもいるという。なぜ、これほどまでにゲストを惹きつけるのか。その理由は、ホスト自身が心からホームシェアリングを楽しんでいるからなのかもしれない。

IT会社を運営しているKazuhiroさんがAirbnbに関心をもったのは、実は仕事の延長。「このサイトの多言語対応のシステムってどうなっているんだろう」、そんな興味から実際にホストとして登録したのが始まりだった。

「最初のゲストは福井から来てくれたんですが、このときのホスト体験が非常に楽しかったんです。見ず知らずの人がやって来て、一緒に家でお酒を飲めるなんて最高じゃないですか(笑)。それからすっかりハマってしまって、現在までホームシェアリングを続けています」

美味しい料理とお酒に目がなく、誰かと一緒に料理をしたり、シェアするのも大好きなKazuhiroさん。フランス料理店に勤めていたこともあったが、その転職のきっかけも行きつけの屋台で知り合った人からの紹介だったりと、お酒が繋いだ良縁も多いようだ。

1階はオフィス、2階にリビングダイニングキッチン、小上がりタイプの和室、ロフトがある。

ホストを始めるにあたって新しく用意したのはバスタオルとシーツ、歯ブラシのみ。普段からホームパーティを開いて自宅に友人を招くことが多く、そのまま泊まっていく人もいるため、来客用の布団はあらかじめ持っていたのだそう。そのため、初期費用は5万円以内で収まったとのこと。

「自分が住んでいる家の空いているスペースを貸すだけですからね。特別に何かを用意する必要がなく、気楽に始められるのはホスト居住型のいいところだと思います」

現在は、ゲストとのやり取りから迎え入れ準備、清掃までをほぼひとりで行っているが、 ときに英語が得意な知り合いにサポートしてもらうこともあるという。

「読み書きは多少できるんですが、友人がいたほうがコミュニケーションがスムーズな場合もあって。友人が集まるホームパーティにゲストが参加することもありますよ。例えば、ゲストが中国人なら、中国語が話せる友人を招くことも」

Kazuhiroさんだけでなく、Kazuhiroさんの友人も一緒に、ホームシェアリングを通してゲストとの交流を楽しんでいるようだ。

Kazuhiroさんとの会話こそ、滞在中の楽しみだというゲストも多いだろう。
2匹の猫も、常にウェルカムな姿勢でゲストをもてなしてくれる。

Airbnbのホストになってから、人気のリスティングとして現在もファンが増え続けているが、何かおもてなしのコツはあるのだろうか?

「そもそも“おもてなししている”つもりはないんですよ(笑)。キッチンもリビングもゲストと共有なので、僕がいつものようにそこでお酒を飲んでいるときに、ゲストがいたら『一緒にどう?』と誘うだけ。でも基本は、ゲストが好きなように過ごせるようにしています。なかには、ひとりで過ごしたい人もいるだろうし。様子を見ながら、ゲストとの距離を判断しているのかもしれないです。ゲストの方から距離を縮めてくれる場合には、ものすごく仲良くなりますね」

ゲストのなかには大学受験で中国からやって来た学生や、就職活動のために地方から上京してきた大学生もいる。「今度、面接があるんです」と言うゲストのためにKazuhiroさん自ら面接官となって模擬面接をしたり、回答の文章を添削したりすることもあるそうだ。

「今のところ、うちに泊まった学生は、百発百中で合格しています(笑)」

リビングの棚にはウイスキーやハードリカーが並ぶ。1階にはワインセラーも所有しているとのこと。
オーディオにもこだわるKazuhiroさん。どこにも行かず、ここで音楽や映画に浸るゲストもいるという。

「ホームシェアリングの魅力は、新しい人と出会えること。その人と一緒に酒が飲めること(笑)。親しくなった人とは、そのあともずっと関係が続くのもいいですね。猫好きの人とお互いの猫の写真を交換しあったり、ゲストとして来てくれた人の家に自分が遊びに行ったり。今では世界中に知り合いができて、泊まれる場所ができました」

Kazuhiroさんがホストとして登録しているのはAirbnbだけ。その理由は、まず第一に「デザインが可愛い」からだと言う。

「しっかりブランディングされている印象ですね。ロゴもオシャレで可愛いし。Airbnbのロゴ入りトート、気に入って使っています(笑)。あと、定期的にホスト同士が集まるミートアップがあるのもいい。そこで交流しながら情報交換ができるので」

Kazuhiroさんの言動からは猫たちへの愛が滲み出る。保護猫活動にも熱心だ。

「みんな、もっとホストをやればいいのに」とKazuhiroさんはつぶやく。東京都内の各地域の居住型ホストの集まり“おうちホストの会”にも参加し、ホームシェアリングの魅力を広め、地域に理解され、根付くための活動も行っている。

「もうひとつ、広めていきたいことがあります。住む場所がない保護猫、ホストをやりたいけれど自宅にスペースがない人、空き家を持て余している人……この三者を結ぶプロジェクトです。今、空き家を提供してくださる方が見つかったので、これからその家に住むホストを募る予定です。猫も安全な家に住むことができて、ホストは念願のホームシェアリングを始められて、空き家も活かされる、みんなが幸せなかたちじゃないかな。猫好きのゲストだって、滞在中は猫と一緒に暮らせるんだから、きっと楽しいはず。そんなホームシェアリングのかたちを目指しています」

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