東京や京都、大阪、福岡、那覇といったインバウンド主要訪問地に、モダンジャパニーズテイストのホテル「hotel MONday」「hotel MONday Apartment」を展開している「株式会社JHAT」。多人数収容可能な客室を多く設けていることや、全館バリアフリー対応であることに加えて、車椅子での利用を想定したユニバーサルルームも完備しており、多様なニーズに応えられるホテルとして人気のリスティングとなっている。今回は、代表取締役社長である平林朗さんに、同社のホテルづくりに対する想いを語っていただいた。
「この門(MON)をくぐれば、そこに日本がある」というコンセプトを掲げ、2018年より「hotel MONday」ブランドをスタート。その経緯について平林さんは、こう語る。
「アジアやアフリカの発展を背景として世界的に観光消費が高まり、訪日外国人は増加し続けています。そのうちの4割が、家族や親族と旅行する3人以上のグループ。日本人による国内旅行でもやはりグループ旅行の需要は高く、その割合はほとんど変わりません。しかし日本では多人数で宿泊できる旅館のような宿泊施設が減少を続けていて、特に東京では、国際観光ホテル整備法の規定に基づき登録されている宿泊施設のうち、ビジネスホテルの比率が高い。グループで来日する外国人旅行者のニーズを満たすのは難しいと感じていました」
そんな中、民泊がそのニーズに応えつつあったが、2018年の住宅宿泊事業法(民泊新法)施行後には物件数が一時的に減少。現在では、施行前を超える数にまで戻り、継続して成長しているものの、毎年増加する訪日客の多様なニーズに応えるには、まだ十分とは言えない。
「そこで、海外からのお客様が本当に求めている宿泊施設をつくろうと考えたのです」
hotel MONdayは3名以上のグループ向けの客室を中心に構成し、コネクティングルームも多数用意。インテリアをはじめ、設備やサービスにおいて日本文化を散りばめながらも、客室には布団ではなくベッドを導入するなど快適性も重視した。
「海外からのお客様に対してベストなサービスを提供するため、外国人スタッフを全従業員の半数以上採用。英語はもちろん、できるだけお客様の母国語で接客できるように配慮しています。館内のインテリアも“海外からのお客様が求める日本らしさ”を表現できるよう、外国人スタッフの意見を積極的に取り入れました」
また、ホテルの立地も特徴的だ。都内では浅草や銀座や日本橋など、海外からのお客様に人気のエリアや観光スポットへのアクセスの良さを条件に選定。豊洲、西葛西からスタートし、2021年までには京都や沖縄も含めて拡大していく予定だ。
キッチンや洗濯機を備えた長期滞在向けのアパートメントタイプの開業にも力を注いでいる。
「東京の国籍別外国人延べ宿泊者数は中国人が圧倒的に多いのですが、2位はアメリカ人なんです。欧米からの旅行者の平均宿泊数は10泊以上。そのニーズに応えるべく、長期滞在に適した『hotel MONday Apartment』を立ち上げました。こちらのタイプも客室は4〜6人の多人数を収容可能。日本人の国内旅行の場合でも、地方から東京に4人以上の家族旅行をする際に、2部屋予約せざるを得ないという話をよく聞きます。1部屋で家族全員が一緒に過ごせると、旅の楽しみはもっと増えますよね」
コンセプトは「暮らすように旅する」。Airbnbの信念とも呼応することから、株式会社JHATとAirbnbは2019年1月にパートナーシップ契約を締結した。
「Airbnbのユーザーは世界中にいて、とくに欧米の人々は家族旅行でアパートメントスタイルやコンドミニアムといった宿泊施設に長期滞在することに慣れています。そうした層にリーチできるのは、Airbnbに掲載しているからこそだと思います」
また、Airbnbからの予約には以下の特徴があると平林さんは言う。
「Airbnbは100%事前決済なのでキャンセルが少なく、しかもメッセージ機能がプラットフォーム自体に内蔵されているため、連絡を取りやすく、お客様の顔が見えやすいのが非常にいいですね。私たちも、Airbnbの根強いファンに好まれるような、地域性や文化が感じられ、スタッフとの交流を楽しんでいただける宿泊施設を目指したいと思っています」
海外からのお客様を受け入れる多様な形態の宿泊施設網を構築し、人手不足に喘ぐ宿泊業界に外国人労働者を招き入れ、インバウンド観光および外国人労働者による地域創生を行っていく。それが株式会社JHATの企業理念だ。
「SNSのおかげで、この10年で国同士の関わり方が大きく変わったと感じています。今まであまり交流がなかった国の様子がSNSで拡散されて、その国へ旅行する人が増えたり。日本で東日本大震災が起こったときは、SNSを通じていち早く世界中に情報が広まり、各国からの支援が集まりました。個人の発信力が強い現在では、国同士というよりも人同士のつながりが重要。世界各地から日本へやって来た人と人をつなぐ場所をつくっていきたいと思っています」
hotel MONday
https://hotel-monday.com