新潟県湯沢町にあるリゾートマンション「エンゼルリゾート湯沢」。2018年3月に、湯沢町内のリゾートマンションで初めて住宅宿泊事業制度の活用事例となることが決まった。その後、同年6月からAirbnbに掲載し、運用をスタート。それから約一年、ホストとして人気を集めるだけでなく、物件の資産価値も上がっているという。その背景について、マンションを管理し、運用する株式会社エンゼルの冨士岡翔太さんにお話を伺った。
エンゼルリゾート湯沢がAirbnbに掲載し成功したことは、業界内でリゾートマンションの活用事例として注目されている。Airbnbへの掲載に至るまで、どのような経緯があったのだろうか。
「株式会社エンゼルは、グループ全体で、ホテルやレストランなどを運営しています。民泊事業を始めたのは、世界中の方が使われているプラットフォームであるAirbnbに掲載でき、多くの外国人旅行客に来ていただけると考えたからです。湯沢町はスキーリゾートとして長い歴史があり、ゲレンデの質の高さは海外の方にも認知されています。インバウンド旅行者が増えれば、日本人の利用者が減少し続けているリゾートマンションの稼働率も上がります。さらに、地元の雇用促進や活性化にもつながると考えました」(冨士岡さん以下「」内同)
そこで、リゾートマンション『エンゼルリゾート湯沢』のオーナーの方々から理解を得るべく動き出した。
「リゾートマンションが民泊運用を始めるには、オーナーの皆様の賛成をいただかなくてはなりません。そこで、説明会を行い、マンション管理組合の臨時総会を開き、賛成をいただきました」
民泊新法(住宅宿泊事業法)で、リゾートマンションが民泊(住宅宿泊事業)を運営するためには、住宅宿泊管理業者への管理委託を行うことが義務付けられている。
「もともと『エンゼルリゾート湯沢』は、株式会社エンゼルが運営していたリゾートマンション。管理委託先を株式会社エンゼルに指定することで、家主不在型民泊の事業要件がそろい、ワンストップで民泊を行える仕組みができたのです。それから一年余り、マンションのオーナー様も安心して運用が行え、今ではマンションそのものの資産価値もかつての約15倍以上に上がっています」
Airbnbに掲載した結果、台湾、中国、香港からの旅行客を中心に、人気を集めるようになった。長期で滞在する人や、翌年の予約をするゲストも多く、オーナーの方々からの評判も上々だ。
「部屋を使わない時期に、民泊として貸し出せば利益が出ます。オーナーの皆様は手間をかけることなく運用ができるのです。運営を通して感じることは、Airbnbの集客力と公平性です。世界中の方が利用しており、新規登録の私たちも平等に掲載されている印象です。これはうれしい驚きでした。また、ホストとゲストが相互にレビューする仕組みがあり、お客様側からの一方的な評価ではないこともAirbnbの特徴だと感じています。皆さん丁寧にお部屋を使ってくださっており、とてもマナーがいいのです」
『エンゼルリゾート湯沢』が人気を集める理由は、越後湯沢駅から約3km、岩原スキー場ゲレンデ直結というアクセスの良さや、居心地の良さにもある。
「東京から上越新幹線で75分の越後湯沢駅から、『エンゼルリゾート湯沢』までの送迎バスが出ています。お部屋の快適性もありますが、温泉も楽しめる大浴場やコインランドリーを備え、スキーシーズンの長期滞在でも快適に過ごせます。大浴場のマナーについては、解説動画を用いて、事前にご確認いただいています。オーナーの方々からの苦情はほとんどありません」
2019年のスキーシーズンは、時期によってだが、ひと月の稼働率がすでに70%となっている部屋もあるという人気ぶりだ。『エンゼルリゾート湯沢』がAirbnbに掲載したことによる成功例は、その他のリゾートマンションからも注目されているという。
「現在、リゾートマンション全体として、建物の老朽化とそれに伴う資産価値低下、リゾート客の減少、管理費不足及び管理費滞納など多くの課題を抱えています。リゾートマンションを健全に運営していくためには、多くの方に来ていただくことが必要です。世界中の人々に情報を発信できるAirbnbに掲載したことで、活性化のきっかけがつかめたと感じています。今後は、リゾートマンションのさらなる資産価値向上と、湯沢町全体の活性化が私たちの目標です」