2018年に制定された住宅宿泊事業法(民泊新法)は、訪日外国人が年々増加する一方で、宿泊場所の供給が不足していた日本において宿泊業への門戸を広げるものとなった。旅館業法の許可がなくとも、新しい宿泊業として「民泊」が法的にも認められたことで、参入のハードルが下がった。ただ、法律化されるということは、守るべきルールもはっきりと定められたということになる。民泊を営む事業者は、個人法人問わず消防設備などのハード面での要件対応、行政への報告、ゲストとのやり取りなど、一定の義務と責任を課せられることとなった。そんな「おもてなし」のための業務を全面的に支援する、システムとサービスを提供しているのがmatsuri technologies株式会社だ。「民泊業界のなんでも屋」として飛躍を続ける同社CEOの吉田圭汰さんに話を聞いた。
「民泊を通して、もっと空間の可能性を広げていきたいんです」
そう語る吉田さんは、大学在学中にソフトウェアを開発する会社を立ち上げた気鋭の起業家だ。その後女性向けキュレーションアプリを立ち上げ、売却。続いて、いち早くホームシェアリングのマーケットに注目し、2016年に民泊支援をメイン事業とするmatsuri technologiesをスタートさせた。
「民泊は関わる事業領域が広く、これからさらに増えていくインバウンド需要へのビジネスチャンスを幅広く捉えていくには最適の市場。しかもホームシェアリングの概念は、空間のもつ役割をひとつに限定しない“新しい空間の在り方”を創造できる、面白いコンセプトだと感じていました。とはいえ、いざ始めてみると民泊の運営は地道で細かく、手間のかかる作業の積み重ね。一方でホストは日々の運営で手一杯で運営効率面においては手が回りっておらず、それを解決するシステムを作りたいと思ったのです」
そこで、民泊運営の業務効率アップや、ホストの利益アップにつながるソフトウェアやサービスを開発し始めた。そのひとつが、国内最大規模の登録施設数をもつ住宅宿泊運営管理ソフトウェア「m2m Systems」だ。
「m2m Systemsは、予約に関する様々な業務を一括管理できるシステムです。例えばゲストのメッセージのやりとりには様々なケースや言語を学習させたチャットシステムを導入していて、365日24時間いつでも自動返信する設定ができます。このシステムはAirbnbの公式API(アプリケーションプログラミングインターフェース)と連携しており、Airbnbのサイトにログインせずにメッセージ管理ができる仕組みになっています。複数のアカウントを保有するホストにとっては、m2m Systemsを通してアカウントの一括管理が可能に。今まで手動でエクセルに打ち込んでいた情報が、システム上で一元管理できるようになります。」
matsuri technologiesが提供しているのは、システムだけではない。「m2m Systems」を使ってメッセージ返信を代行するサービス「m2m Basic」も展開し、累計1,300万メッセージを返信する実績を持つ。さらには民泊の運用検討から運用準備、運用中の業務まですべて代行してくれる「m2m Premium」という業務一括代行サービスも人気を呼んでいる。そしてこれらのサービスの要所要所には、matsuri technologies独自のシステムが組み込まれていて、各フェーズで効率化を実現させている。
「まず、物件は持っているけど、民泊で運用できるの?という不安からホストへの一歩が踏み出せない方もいると思います。我々が開発した『民泊・簡宿適法チェッカー』は、たった13の質問で民泊運用の可否を判断できるツール。このツールの導入により、運用可否、そして運用に向けてどんな対応が必要かが3日程度で判断できるようになりました。もちろん行政への申請や届け出はフルサポートしています。内装コーディネートや通信関係の手配、OTAサイト各社のアカウント作成も行います。運用スタート後も価格調整やゲスト対応、清掃手配まで代行。物件登録実績は20,000室、平均稼働率は85%を誇っています。またお部屋へのチェックイン・アウトに際しては、「m2m Check-in」という自社開発の本人確認システムを導入。守るべき法を遵守しつつ、ゲストがストレスなくお部屋に出入りできる仕組みを整えました。」
一方で、人の手がシステムに勝る部分は、しっかりとマニュアル対応ができる人員を確保している。
「一般的には、部屋を借りてから運用を開始するまで90日はかかると言われていますが、我々の場合は約30日間で可能です。その理由のひとつが、行政書士やインテリアコーディネーターなどの機能の内製化。専門家が社員として在籍しています。ただテンプレートを使いまわすのではなく、物件の特性やホストの意向に合わせた対応を行っています。」
もうひとつ、matsuri technologiesが作り上げてきたマニュアルの仕組みに「二毛作民泊」と呼ばれるものがある。ひとつの物件で年間180日を民泊運用、185日をマンスリー賃貸運用で行う事業だ。
「住宅宿泊事業法に基づく民泊運営は最大で1年間180日間に限定されました。つまり残りの年間185日間は民泊運用ができないことになります。そこで、この期間をマンスリーマンションとして貸し出す仕組みを考えたのです。2018年に、日本で初めての在留外国人向け情報サイトをもつフジ・メディア・ホールディングスさんと提携を結ばせて頂いたのも功を奏し、2019年のマンスリーマンションとしての稼働率は80%を超え、物件を収益化させることができています。」
matsuri technologiesは、「住環境における『共有』を促進させ、空間の所有を再定義していく」ことをミッションに掲げている。
「ホームシェアリングは、ホテル事業と違い一つ一つの部屋にそれぞれのスタイルがあって、ゲストは自分のスタイルにマッチした部屋を自由に選ぶことができます。そして、50年後、100年後の世界を考えた時、部屋の概念は今よりももっと自由になり、もっとあらゆるものがインターネットとつながっていると思うんです。そうなると空間の可能性も広がる。部屋や建物も固定されておらず、移動が可能になっているかもしれない。色々な都市の空間が、宿泊施設、住宅、店舗へと変化していけるかもしれない。そんな変化を楽しみながら、僕らの事業領域もどんどん進化させていきたいです。」
民泊、マンスリーマンション、その両輪を束ねる種々のシステム。これまでmatsuri technologiesは民泊のインフラとも言える仕組みを築いてきた。今後はそのインフラをさらに強固にしていくため、オペレーションの内製化とテクノロジーの開発を一段と進めていきたいと吉田さんは語る。
「これからホームシェア事業を始めたい方にとって、それが投機ではなく投資になるようにしたい。物件等の相談に乗りながら、ホスト毎のおもてなしスタイルに合わせて必要な業務のお手伝いをしていきます。我々は黒子に徹してオペレーションを行い、ホストの方はゲストへのおもてなしに集中する。そう住み分けることで、もっと多くの方が気軽にホスティングを楽しんでいただけるような未来を作っていければと考えています。」
matsuri technologies株式会社
【民泊借上事業】https://matsuri-tech-estate.com/
自社で民泊物件を借り上げプロデュースした上で民泊として運営
【m2m Systems】https://www.m2msystems.info/
総登録施設数20,000施設を超える、国内最大規模の住宅宿泊運営管理ソフトウェア
【m2m Basic】http://m2mbasic.info/
総実績1,300万メッセージ超を誇るAirbnbメッセージ代行サービス
【m2m premium】https://www.m2mpremium.com/
民泊×マンスリーマンションで住宅宿泊事業の運用を代行運営サービス
【m2m check-in】https://www.m2mcheckin.info/
民泊・ホテル事業者向けのソリューションシステム
【nimomin】
http://www.nimomin.info/(物件ユーザー専用)
https://www.user.nimomin.info/(集客ユーザー専用)
民泊・短期賃貸・Co-living物件共有データベース
民泊運営についてのご相談
https://tsite.jp/r/cpn/airbnb/hoststory/hmc/