Airbnbのホストをサポートする、清掃&リネンサービスを提供

西新(セイシン)サービス株式会社
代表取締役社長 大川純一郎さん

2018年2月1日掲載

西新サービスは、ホテル、リゾート施設をはじめ、商業施設、オフィスビル、マンションなどのメンテナンス事業を全国的に展開している歴史ある企業だ。1974年の創業以来、建物の管理、運営、清掃、修繕、そしてホテル客室のリネンの管理やベッドメイキングまでをトータルで手掛けており、管理受託件数は1100件以上になる。そんなビル・ホテル管理のプロフェッショナル企業が、ホームシェアリングに特化したサービスをスタートさせるという。

大川氏は、慶應大学経済学部卒業後、保険会社に34年勤務。24年間営業職に従事し、キャリアの大半を現場で過ごす。その後、東京建物株式会社の監査役に就任した。仕事は現場主義で、今回の業務提携も、現場をよく知るスタッフで組織した。「次も選ばれる西新サービス」がモットーだという。
大川氏は、慶應大学経済学部卒業後、保険会社に34年勤務。24年間営業職に従事し、キャリアの大半を現場で過ごす。その後、東京建物株式会社の監査役に就任した。仕事は現場主義で、今回の業務提携も、現場をよく知るスタッフで組織した。「次も選ばれる西新サービス」がモットーだという。

室内清掃だけでなく、リネン管理、廃棄物処理まで

Q:まず、西新サービスとは、どのような会社なのかお教えください。

もともと私たちは、西武セゾングループの会社で、マンションやホテルの管理業務を主に行っておりました。創業から今年で44年ですが、これまで商業施設、ホテル、マンション管理を中心に、お客様視点に立った管理実績を蓄積してきました。その後、西武セゾングループ以外の案件も着実に増やし、現在では外資系ホテル、大規模オフィスビル、世界的ファッションブランドの店舗まで事業の幅を広げています。

Q:Airbnbと業務提携を結んだきっかけは何でしょうか。

Airbnbとの提携は、私たちのホテル客室整備と産業廃棄物管理のノウハウを生かしたサービス提供ができると考えたからです。宿泊施設を管理・運営するには、大きく3つの項目をクリアする必要があります。ひとつは、室内清掃。ふたつめは、リネンの管理。最後がゴミ分別・回収・廃棄です。多くの宿泊施設では、個別の業者にそれぞれ依頼していますが、私達はこの3つの異なる業務を1社で同時に提供できるワンストップサービス、さらに、すべての項目をそれぞれ“法令に則った”うえで提供できるのも強みです。今後、事業として運営を続けるには規模感というのは重要ですから、世界最大のホームシェアリングプラットフォームであるAirbnbと提携を結び、サービスを提供していくことにしました。

新プロジェクトに関わる、新規事業推進課の皆さん。それぞれに得意分野を持つプロフェッショナルが集まった、期待のチームである。
新プロジェクトに関わる、新規事業推進課の皆さん。それぞれに得意分野を持つプロフェッショナルが集まった、期待のチームである。

“ホームシェアリングサービス”を提供するにあたった経緯

Q:あえて今、ホームシェアリングサービスに着目した理由を教えて頂けますか

ここ数年で日本への外国人観光客が急増し、ホームシェアリングの潜在的なニーズがあることを私自身も感じていたのが理由のひとつです。そしていよいよ、2020年の東京オリンピックが間近になり、宿泊施設が足りなくなるという予想が現実味を帯びてきたこと。加えて、2018年に「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が施行され、 需要が拡大することもホームシェアリングサービスに着眼した理由のひとつです。そこで私たちが気付いたのは、ホテルのような大規模な宿泊施設と違い、点在する小規模な宿泊施設を運営する際には、清掃、リネンなどの管理業務に労力を使うということです。そのことに気づいた私たちは1年ほど前から、私たちの強みを生かせる仕組みづくりをスタートさせていたのです。

Q:お互いのニーズを満たし、強みを生かし合った提携が成立したのですね。

その通りです。世界中の人々が活用しているAirbnbを介して、多くの人が宿泊施設を予約するでしょうし、そのホストの皆様にとって、清掃、リネン、廃棄物の処理などを、すべて法的にクリアした状態で進められることは、非常に重要なことです。そこで、法的にすべてをクリアしたサービスを提供できる点は、わが社の「運営のキモ」になっていくと考えています。現在、スマートフォンを使って作業工程をチェックするシステムや、クラウドで作業の品質を管理するシステムを構築しており、私たちの提供するサービスが、ホストの方々のニーズを満たすと確信しています。

取材時、西新サービスはオフィスの引っ越しをしたばかり。新社屋にはベッドメイキングの研修施設があり、トレーナーが研修生を迎える準備をしていた。ここでサービスの基本をしっかりと学んでいくという。
取材時、西新サービスはオフィスの引っ越しをしたばかり。新社屋にはベッドメイキングの研修施設があり、トレーナーが研修生を迎える準備をしていた。ここでサービスの基本をしっかりと学んでいくという。

Q:西新サービスならではの強みをお教えください。

ホテル管理の実績を重ねたプロフェッショナル集団という点です。例えば、客室整備なら専任トレーナーがいて、トレーニングルームがあり、スタッフ教育まで自社で行えます。多言語対応のマニュアルもあり、日本で働く外国人の方々とのネットワークも長年の業務において築いてきております。また、社員や現場スタッフに、経験豊富なリーダー層が育っていることも大きな強みです。外部の方々と長年にわたる信頼関係があることも特徴です。ホームシェアリングの物件は宿泊施設ですから、そこから出るごみは原則として「事業系一般廃棄物」と「産業廃棄物」に大別され、処理には煩瑣な義務が課されるのですが、私たちは産廃の収集・運搬する認可業者と提携していますので、その細かい業務を私達が請け負い、法令に則ったごみ処理も代行できるのです。

Q:では最後に、今後の展望についてお聞かせ頂けますか?

まずは、東京の新宿区と渋谷区からサービスをスタートさせる予定です。このスタートアップを成功させて、都内、首都圏とエリアを拡大していきたいと考えています。細かいことですが、ホストを始めてすぐに必要になるのが、シーツやタオルなどのリネン類の準備ですが、宿泊施設のリネンの取り扱いには衛生基準があるのです。例えば、コインランドリーなどで洗濯したものを提供すると、法的基準を満たせない。こういった保健所の管轄である、リネン管理のサービスも私どもが行いますので、ホストを始める方はぜひともサービスをご利用頂きたいですね。これからの時代、コンプライアンスを遵守して施設を運営していくことは重要になりますから、私たちもその時々の法規制に合わせ、技術や管理体制をブラッシュアップさせていきます。

西新サービス株式会社

西新サービス株式会社
1974年創業。 ホテル、リゾート、マンション、オフィスビル、病院、介護施設、商業施設をトータルでオペレーションする。業務内容は、管理、運営、修繕、警備、清掃、駐車場管理、受付など多岐にわたる。

西新サービス × Airbnb
西新サービス株式会社とAirbnb Japan株式会社は、地域に根ざした住宅宿泊事業の拡大に向けて多様なサービスの開発に向けた覚書を締結しました。まずは取り組みの第一弾として、西新サービスが保有するサービスリソースを活用し、住宅宿泊事業向けの清掃・リネンサービスの提供を都市部を中心に行います。以降は市場の声を踏まえながら、より適したサービス開発およびエリア展開を進めていく予定です。