日本一の「おんせん県」大分県
別府温泉にしかない新たな旅体験を。

ホテル白菊
代表取締役社長 西田陽一さん

2018年9月10日掲載

大分県にある別府温泉は湧出量、源泉数、泉質ともに日本一の規模を誇る。砂湯や泥湯、地獄巡りなどバラエティに豊んだ温泉があり、尚かつ歴史もある彼の地が今、Airbnbとタッグを組み、新たな観光創出へと動き出している。温泉街の老舗の旅館やホテルと、Airbnbがどのような取り組みを行うのか、ホテル白菊代表取締役社長の西田陽一さんに別府での観光事情を伺った。

別府駅からほど近いホテル白菊の原型は、大正9年に始まった陶器店。その後ダンスホールのあるカフェー「サロン・ツルミ」や、ショーステージや会員制クラブがあった「ボンツルミ」へ時代と共に業態が変わり、旅館業へ軸足を移し白菊荘が誕生。昭和48年には12階建てのホテル白菊を開業したのだという。

「かつて、別府は港町として栄え、福岡の炭鉱の方や温泉に癒されに来る妊婦さん、新婚旅行や団体旅行者など、いろんな方が集まってきました。第二次世界大戦時も空襲被害に遭っていないので、昔からの路地裏も残り、ディープな街歩きも出来るんですよ。」そう話す西田さんは、大分県のコマーシャルなどにも出演し、観光大使の様な役割もする「おんせん県観光誘致協議会」の初代会長でもある。

ホテル白菊代表取締役社長の西田陽一さん。お話を伺った本館1階ラウンジ「つる」の背後には、開業当初からあるという大分県の大きな地図も。
ホテル白菊代表取締役社長の西田陽一さん。お話を伺った本館1階ラウンジ「つる」の背後には、開業当初からあるという大分県の大きな地図も。

「2012年に大分県のツーリズム戦略の大きなビジョンで日本一の「おんせん県」として、民間組織『おんせん県観光誘致協議会』を設立。去年からは別府市の旅館ホテル組合連合会の会長にも就任しました。現在、別府市だけで旅館やホテルの施設は110軒、約5,000部屋程度あります。ホテル白菊は祖父から始まり、わたしで4代目。2020年で創業70周年を迎えます。もともと別府出身なのですが、しばらくは大阪の大手旅行会社で勤めており、家業を継いだのは比較的最近。社長業は12年目です。街をもり上げるには自分達のホテルだけではだめだと思い、6年ほど前から行政の方々と一緒になって考えはじめました」

竹中工務店が手がけた現代アートのようなエントランス。天井には細かい波のようなオブジェが吊るされ、朝陽が当たるとキラキラと輝き、美しい。広々とした開放感があり、スタッフの方々は明るい笑顔で迎えてくれる。
竹中工務店が手がけた現代アートのようなエントランス。天井には細かい波のようなオブジェが吊るされ、朝陽が当たるとキラキラと輝き、美しい。広々とした開放感があり、スタッフの方々は明るい笑顔で迎えてくれる。

「東北大震災が起きた時、別府温泉のお湯を民間組織だけで南三陸町に10回くらい届けに行きました。18トンのタンクローリーに温泉を入れて、船と陸路を使って運び、幼稚園のプールでお風呂に入っていただけるようにしました。

その時、現地の方々に言われた『別府は憧れの場所なんだ』という一言が非常に衝撃的でした。今まで別府温泉について『憧れ』という言葉を聞いたことがなかったんですよ。よくよくお話しを聞くと、60代以上の方々は、ハネムーンで別府に来られた方が多かったようなのです。また、現地の方に温泉に入って笑顔になっていただくことで、逆に我々が元気をもらう結果となりました。

この取り組みを通じ「おんせん県」大分県として、積極的に外に情報発信をしていく必要を感じ、大分県の知事に提言。ご理解いただけたので、官民一緒になって観光を中心にやっていこうという話になりました。」

かつては25mプールだったという広い露天風呂がある大浴場「楠湯殿」。60度前後の4つの源泉から引かれたお湯の泉質は、アルカリ性単純温泉。男女日替わりで入れ替わる「菊湯殿」も併設されている。
かつては25mプールだったという広い露天風呂がある大浴場「楠湯殿」。60度前後の4つの源泉から引かれたお湯の泉質は、アルカリ性単純温泉。男女日替わりで入れ替わる「菊湯殿」も併設されている。

「温泉はもちろん、地域ならではの美味しい関アジや関サバ、郷土料理の団子汁、りゅうきゅう丼などの食文化をはじめ、別府の魅力はたくさんあります。2019年のラグビーワールドカップの際に、ニュージーランド、オーストラリア、ウェールズの試合が大分で開催されます。ワールドカップでは、試合だけではなくその前後で大分の魅力をゆっくりと味わって欲しい。Airbnbは世界各国のお客様の大きなネットワークをお持ちなので、そこで幅広く情報発信をしたいという思いがあり、提携に至りました。また、宿泊だけではなくてアクティビティなどの体験も、宿プラスアルファとして一緒になって楽しんでいただき、別府に滞在していただく繋がりになると嬉しいですね。」

別府から湯布院までは、わずか30〜40分で行ける距離だが、こんなに近いことはあまり知られていない。西田さんは、湯布院とも連携を組み、最強の温泉郷として、「日本一は世界一の温泉」というフレーズを掲げている。

「別府には、別府大学、溝部学園、立命館アジア太平洋大学(APU)と3つの大学があります。特にAPUは、約97カ国2,000人くらいの留学生がいらっしゃるそうで、その留学生の多くの方々が住んでいる会館がホテル白菊の近くにあります。会館の2階にはHuber.の事務所があり、留学生の中には観光に携わるガイドのアルバイトをやっている方もいて、進んで街づくりに関わってくれているのがうれしいです。財産というか宝ですね。そういう街って日本でもなかなか無いと思います。今までは団体旅行型で宿だけの旅で終わっていたことが、AirbnbやHuber.を通じて色々な体験をしていただき、『別府は楽しい街だよね。』と思ってもらえることを目指しています。」

2019年のラグビーワールドカップには、オールブラックス、ウェールズ、ワラビーズのチーム合宿が別府で行われることになっている。西田さんは、外国の方々にも是非、裸で温泉に入ってもらい、別府温泉を感じて欲しいと話す。

「別府では2020年のオリンピックの開催までに、旅館とホテルが新たに1,000部屋できることになっています。その兼ね合いもあり、2019年の4月から別府の入湯税が100円上がるのですが、その分、観光客の皆様にも還元できるように、地獄めぐりを周遊する路線バスの便宜や割引をしたり、古くからの文化遺産や商店街、路地裏を守ったり、和食料理人の研修を開くなど、今までにない観光振興を行なっていければと考えています。」

「癒しと快適な眠り」をテーマとした、ホテル白菊のスイートルーム「菊万葉」。吹き抜けの天井にはシーリングファンがあり、メゾネットの2階には専用の露天風呂があるなど、プライベートな空間でゆっくりと過ごせる。
「癒しと快適な眠り」をテーマとした、ホテル白菊のスイートルーム「菊万葉」。吹き抜けの天井にはシーリングファンがあり、メゾネットの2階には専用の露天風呂があるなど、プライベートな空間でゆっくりと過ごせる。
5.5畳の家族風呂付き、和室のあるスイートルーム「花勝見」。白菊の総客室数は115室あり、和室から洋室、メゾネットのある和洋室などタイプが豊富。また、地元の陶芸家が部屋のテーマごとに制作したオリジナルの作品が飾られているのも魅力。
5.5畳の家族風呂付き、和室のあるスイートルーム「花勝見」。白菊の総客室数は115室あり、和室から洋室、メゾネットのある和洋室などタイプが豊富。また、地元の陶芸家が部屋のテーマごとに制作したオリジナルの作品が飾られているのも魅力。
白菊という名前は、先代の女将が菊の花が大好きなことから。お庭には白菊の滝と書かれた塔がある。4階にある日本料理「菊彩香」は今年の7月にミシュラン2つ星を獲得したばかり。料理を打ち出す宿というのもコンセプトの一つだ。
白菊という名前は、先代の女将が菊の花が大好きなことから。お庭には白菊の滝と書かれた塔がある。4階にある日本料理「菊彩香」は今年の7月にミシュラン2つ星を獲得したばかり。料理を打ち出す宿というのもコンセプトの一つだ。
もくもくと漂う煙が味わい深い温泉街の眺め。若い世代にも別府温泉の認知度を広めたいということから、バスクリン社と大分県別府市、同市旅館ホテル連合組合が共同開発した新しい入浴剤「日本の名湯 別府」も発表したばかり。
もくもくと漂う煙が味わい深い温泉街の眺め。若い世代にも別府温泉の認知度を広めたいということから、バスクリン社と大分県別府市、同市旅館ホテル連合組合が共同開発した新しい入浴剤「日本の名湯 別府」も発表したばかり。

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    住所:大分県別府市山の手町12-1
    TEL:0977-26-7111

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    昭和なムードが漂う体験型動物園&遊園地。室内でも楽しめる「あひるの競争」や日本唯一の二重式観覧車、ケーブルカーなどが名物で、別府湾を眼下に望む「絶景の湯」や、様々な動物と触れ合える子どもも大人も楽しめるスポット。

    住所:大分県別府市流川通り18
    TEL:0977-22-1301