ビジネス

町家を宿泊施設として再生し、
文化を受け継ぎ、人を繋ぐ場所をつくる。

株式会社レ・コネクション
代表取締役 奥田久雄さん
運営事業部 部長 佐塚遼さん

2019年12月4日取材

京都市の中心部に拠点をおく、不動産の総合カンパニー「株式会社レ・コネクション」。“人を結び 街を紡ぐ”をスローガンとして2016年に創業し、不動産売買や資産運用のコンサルティング、宿泊施設の企画・運営管理などを行っている。なかでも京町家を一棟貸しする「紡」ブランドは、インバウンド需要の波に乗って次々と棟数を増やしており、Airbnbでも人気のリスティングとして注目を集めている。この「紡」に込めた想いを、代表取締役の奥田久雄さんと運営事業部部長の佐塚遼さんに語っていただいた。

“古都京都の文化財”として街そのものが世界遺産として登録されている京都は、国内外から多くの旅行者が訪れる世界有数の観光都市。文化財としての価値は、そのまま不動産価値となり、投資家からの人気も非常に高いエリアとなっている。
そんな京都で、レ・コネクションは不動産の企画マーケティングから設計デザイン、施工、運営管理までを一貫して自社で行うことで成長を続けてきた。
「僕は京都が地元ということもあり、京都の街の文化的価値は常に意識しています。今まで受け継がれてきた文化を次世代へと繋いでいきたいという想いから、特に京町家の保存再生に積極的に取り組んでいます」(奥田さん)

紡ブランドの宿泊施設のひとつ「紡 松原御幸町」の寝室。窓からの坪庭の景色が絵画のよう。

その京町家で宿泊事業を展開しようと奥田さんたちが考え始めたのは2015年ごろ。インバウンド需要が急速な高まりを見せた時期でもあった。そしてその後、2020年に東京オリンピック、2025年に大阪・関西万博の開催が決定。今後の盛り上がりも期待できると考え、主に海外からの旅行者をターゲットとする宿泊事業「紡」ブランドのスタートに踏み切った。

「紡」ブランドでは、まず空き家となっている町家を調査して仕入れ、立地や環境に合わせた改装設計案を含む詳細な企画をオーナーに提案。施工やインテリアコーディネートも手掛け、オープン準備をサポートし、オープン後も運営を代行する。

物件によって異なるが、初期費用は建物代金や工事費を含めて約5,000万から7,000万円、年間売り上げを700万から900万円程度とするならば、その40〜50%がおおよそのランニングコストとなるという。

※あくまで一例であり、利益を保証するものではありません。

「紡 松原御幸町」の2階。左手の壁は、あえて以前のまま残してある。
「紡 松原御幸町」の吹き抜け。梁や柱に、積み重ねられた歴史を感じる。

実際に「紡」を運営する上で欠かせないのが、Airbnbの存在だ。
「Airbnbに掲載することを決めたのは、ホームシェアリングのプラットフォームのなかで飛びぬけて世界的に利用者が多いという印象があったからです。実際に、『紡』の宿泊客の85〜90%がAirbnbから予約されています。他の旅行サイトにも掲載はしていますが、流入は少ないですね。現在は海外旅行者が多くて全体の85% を占めていますが、国内でのAirbnbの認知度が上がっているためか、最近では日本人の宿泊客も増えてきています」(佐塚さん)

着実に棟数を増やしていることからも、その好調ぶりが見てとれる「紡」。今後の成長に向けて取り組みを強化していきたいことが2つあるという。

「1つは、京都市の条例改正に伴い、一部宿泊施設から10分(約800m)以内の場所に新たに駆け付け要件を配置すること。2つめは、人気のエリアに旅行者が集中してしまう問題を解決することです」(奥田さん)

「紡 松原御幸町」のキッチン。以前使われていた竃をコンロ台として利用。
「紡 松原御幸町」は松原通りから1本入った、情緒ある路地の奥にある。

これまでは、複数ある宿泊施設の運営管理を、京都駅前のレセプションに集約させて行っていた。しかし今後は条例の改正に伴い、2020年3月末までに、各宿泊施設から10分(約800m)以内の場所に施設開帳場を設置する必要がある。

この帳場の設置を、レ・コネクションはうまく活用しようとしている。「今まさに施設外玄関帳場の準備をしていますが、僕たちはそこにイベントスペースや飲食店を併設させようと考えているんです。例えば、そこで陶芸などの伝統工芸のワークショップを開催すれば、人が殺到するような観光地以外にも、旅行者にとって魅力的な体験を提供できるようになります。ゆくゆくは旅行者に向けた宿の提供だけでなく、飲食や体験など観光に関わるソフトの部分もトータルで提供したいですね」(佐塚さん)

「さらには、地蔵盆やお祭りなど地域に根付いたイベントをしたり、宿泊されるゲストだけではなく、どなたにでも利用していただける飲食店をつくって地域の方々にもメリットを感じていただけるようにしたり。地域との繋がりや友好的な関係づくりをしていきたいと思っています」(奥田さん)

不動産業界で経験を積んだのちに起業した奥田久雄さん(左)と、ホテル業界に勤めていた佐塚遼さん(右)。

2019年4月に発表された総務省統計局のデータによると、全国の空き家数は846万件にのぼり、空き家率は13.6%と過去最高となった。それは京都も例外ではない。

「人が住まなくなった京町家をはじめ、空き家を有効活用して魅力ある施設をつくり、民泊として運用することで、人が集まる環境を創出できるだけでなく、京都の街並みを整備することもできると考えています。立地や建物、周辺環境などに合わせて多種多様な宿泊形態を実現できることも、民泊を運営していく上での魅力だと思います。今後は、他府県や海外にも目を向けてチャレンジしていきたいです」(奥田さん)

株式会社レ・コネクション
https://re-connection.co.jp

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