「ワンストップサービス」でAirbnbのB2Cビジネスの可能性を広げる

株式会社エボラブルアジア
代表取締役社長 吉村英毅さん

2018年3月15日掲載

2018年6月の住宅宿泊事業法(民泊新法)に向けて、多くの不動産オーナーや管理会社、ホテルなどの法人も本格的な参入を検討している。しかし、ホームシェアリング事業は立ち上げまでに必要な手続きが多岐にわたり、どこから手を付けていいかわからないという声も。そこで、旅行業界に通暁する株式会社エボラブルアジアとAirbnbが業務提携を結び、法人向けにAirbnb開業のエントリー準備から運用までを行う「ワンストップサービス」を発足させた。今回は吉村社長に、サービスの背景、ビジネスの視点からホームシェアリングの将来的な可能性について伺った。

吉村氏は、2007年、現取締役会長の大石氏と株式会社旅キャピタルを共同創業し、2013年には株式会社エボラブルアジアと商号変更した。4つの主なビジネスを掲げ、2016年3月に東証マザーズ上場。2017年3月に東証一部に市場変更。
吉村氏は、2007年、現取締役会長の大石氏と株式会社旅キャピタルを共同創業し、2013年には株式会社エボラブルアジアと商号変更した。4つの主なビジネスを掲げ、2016年3月に東証マザーズ上場。2017年3月に東証一部に市場変更。

航空券比較サイト「エアトリ」運営から、インバウンド、ITオフショア開発事業と幅広く展開

Q:御社の社名である「エボラブルアジア」からは、航空券の予約サイトである「エアトリ」が最初に思い浮かびますが、実際の事業内容を教えてください。

ありがとうございます。「エアトリ」はテレビCMなども行っており、おかげさまで多くの人に支持されているサービスです。私達はほかにも「One Asia」をビジョンに掲げ、訪日旅行事業、ITオフショア開発事業を手がけています。ほかにも、キャンピングカーレンタルサービスの提供、訪日外国人向けの多言語直販サイトの運営など、アジアをつなぐ架け橋となる、さまざまな事業を運営しています。その新たな基軸として今回の「ワンストップサービス」というホームシェアリング支援事業を立ち上げました。AirbnbのB2Cビジネスの可能性を広げるサービスになるのではと考えております。

Q:Airbnbとの提携に至った経緯を教えてください。

私達の事業の中でもB2Cで支持されているのは、「エアトリ」をはじめとする旅行関連のサービスです。年々、世界的に成長し続ける観光業界において、ホームシェアリングサービスのニーズは世界的に高まっていると確信しました。そんなときに、Airbnbと組んで何かができないかと考えたところ、法人のホームシェアリング参入までの高い参入障壁に気が付いたのです。その高い参入障壁を解消するためのサービスとして「ワンストップサービス」を立ち上げました。
ホームシェアリング業界の中ではAirbnbはリーディングカンパニーです。それに、個人的にもAirbnbを利用しており世界的に伸びていくと確信しました。今は個人での宿泊予約がメインだと思いますが、今後はビジネスユースにも広がっていくでしょう。

2016年10月にオフィスを港区愛宕グリーンヒルズMORIタワー内に移転。エントランスを入った奥の入り口ドア。旅行をテーマとしたデコレーションやレイアウトで、社内も遊び心あるカラフルな装いになっている。
2016年10月にオフィスを港区愛宕グリーンヒルズMORIタワー内に移転。エントランスを入った奥の入り口ドア。旅行をテーマとしたデコレーションやレイアウトで、社内も遊び心あるカラフルな装いになっている。

Q:ワンストップサービスの内容について詳しくお教えください。

不動産オーナーや管理会社、宿泊施設を持っている事業者向けにAirbnbへの参入から運営まで一括サポートするというB2Bのサービスです。ホームシェアリングのサービスには、住宅宿泊事業や旅館業の届出と許可が必要。それと同時に、物件のリフォーム、家具や家電の設置、Wi-Fi設備、保険の加入なども必須事項です。このように、立ち上げには様々な手続きや準備が必要で、どれも欠かせません。また、運営するにあたっては、ゲストとのコミュニケーション、清掃、リネン、管理システム、品質維持なども必要です。このように法人が事業としてホームシェアリングを行うには、なかなか高いハードルが待ち受けています。私達の「ワンストップサービス」は、まさにこれらの準備から運営まで「ワンストップ」で行ない、ホームシェアリング事業の参入を全方向からサポートいたします。
「ワンストップサービス」の強みは、それぞれの専門分野に特化した企業と連携していることです。対象物件エリアの収支予測や実際のオペレーションなども分析して、より高収益を狙えるようなサービスを提供していきたいと考えています。

新オフィスには、機内をイメージした廊下もある。エボラブルアジアは自社ウェブサイト、アプリの展開、他社との提携も積極的に行っており、幅広くビジネスを展開している。オフショア開発の拠点としてベトナムに現地法人子会社を置き、現地で独自のシステムの開発・運用を行う。
新オフィスには、機内をイメージした廊下もある。エボラブルアジアは自社ウェブサイト、アプリの展開、他社との提携も積極的に行っており、幅広くビジネスを展開している。オフショア開発の拠点としてベトナムに現地法人子会社を置き、現地で独自のシステムの開発・運用を行う。

新しいビジネスの可能性を求めて

Q:法人向けに「ワンストップサービス」を開発した経緯をお願いいたします。

私は旅行関連の事業を運営しており、世界の観光事業の動向を常にチェックしています。そこで感じたことは、日本のホテル不足の現状は看過できないということ。これから東京オリンピックを迎えることを考慮に入れると、特に東京では圧倒的に宿泊施設が足りていません。今、日本は国を挙げて観光事業に力を入れており、ホテルも続々と建設されていますが、宿泊施設の不足は喫緊の問題だと考えております。 AirbnbはC2Cのイメージがありますが、今後は出張や研修にホームシェアリングサービスを利用する、B2Cの可能性も拡大していくでしょう。私達は法令を遵守した、質の高いサービスを提供するために、サービスをフルパッケージ化した「ワンストップサービス」を開発しました。

ミーティングスペースはレストランのような雰囲気。落ち着いた静かなオフィスは、入り口で靴を脱ぐスタイル。心地よく仕事をする環境が揃っている。
ミーティングスペースはレストランのような雰囲気。落ち着いた静かなオフィスは、入り口で靴を脱ぐスタイル。心地よく仕事をする環境が揃っている。

Q:「ワンストップサービス」の利用者、ターゲットについてお教えください。

今、都市部でも空き物件が多くあります。それらを所有する不動産オーナーや管理会社などに向けて、サービスを提案していきたいと考えております。やはり、「運用したい物件はあるけれど、Airbnbに参入するのは難しい」と思っている人は多いと感じます。そういう事業者さんの参入障壁を下げることが、「ワンストップサービス」の使命だと考えております。

Q:今後の展望についてお聞かせください。

まずは目の前にある課題である、ホテル不足の解消は、事業者の方々がAirbnbに参入する形で解消していけると感じています。2018年6月の住宅宿泊事業法(民泊新法)施行に向け、「ワンストップサービス」をビジネスとして確立させ、いちはやくシェアを取りたいですね。私達の「ワンストップサービス」は、部分ごとのサービスではなく、立ち上げから運営まで一括サポートする唯一のサービスです。これにより、ホームシェアリングに対する信頼感や認知度を向上させ、高いクオリティを維持できるよう、進化を続けていきます。

「ワンストップサービスでチャレンジしやすく、クオリティの高いサービスを提供したい」と語る吉村氏。Airbnbの公式パートナーとなったエボラブルアジアは、日本全国を視野に入れ、今年からワンストップサービスを本格的に開始していく。
「ワンストップサービスでチャレンジしやすく、クオリティの高いサービスを提供したい」と語る吉村氏。Airbnbの公式パートナーとなったエボラブルアジアは、日本全国を視野に入れ、今年からワンストップサービスを本格的に開始していく。
株式会社エボラブルアジア 株式会社エボラブルアジア

株式会社エボラブルアジア
2007年に株式会社旅キャピタルとして創業、2013年に株式会社エボラブルアジアと商号変更する。オンライン旅行事業、訪日旅行事業、ITオフショア開発事業、投資事業の4事業を主軸としている。ビジネスモデルにそれぞれ独自性があり、設立以来、高成長を続けている。

エアトリステイ エアトリステイ

エアトリステイ
Airbnbホストを始めるにあたり必要になる導入・運営オペレーションサービスを提供。お部屋の紹介、インテリア・家電・wifi設備の手配、リノベーションなどの準備段階から、損保や融資の相談、Airbnbへの掲載や清掃・チェックイン代行、駆けつけサービスまで網羅している。
https://www.airtripstay.jp/

株式会社エボラブルアジア×Airbnb
Airbnb Japan株式会社と株式会社エボラブルアジア(本社:東京都港区、以下:エボラブルアジア)は、エボラブルアジアの子会社である株式会社エアトリステイが開始した「Airbnbに特化したコンソーシアム型代行サービス」(住宅宿泊事業の準備・運用をサポートする事業者向けのワンストップサービス)について、包括的業務提携に関する覚書を締結しました。Airbnbは、日本を代表する様々な住宅宿泊事業関連の国内企業とともに「Airbnbに特化したコンソーシアム型代行サービス」を支え、安心・安全な住宅宿泊事業実現を目指して参ります。