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Guest Story
モデルや女優として活躍する高山都さんは、Instagramで発信する料理やマラソンなどのライフスタイルも注目を集めている。今年6月には初の著書『高山都の美 食 姿 「したたかに」「自分らしく」過ごすコツ。』も刊行し、自然体で、30代の自分らしく美しく暮らすコツを綴っている。そんな彼女が特に大切にしているのが、暮らしの中心でもある“食事”。「もともと食べるのは好きでしたが、6年前にマラソンを始めてから一食に対して丁寧に向き合うようになりました」と高山さん。
高山さんは日頃向き合っている食材のことをもっと知るべく、十勝平野のほぼ中央、北海道帯広市にある「十勝とやま農場」を訪れた。ホストの外山さんは、家族と共に約36ヘクタールという広大な土地を管理し、ジャガイモ、小豆、大豆などを栽培している専業農家。農家の仕事、食べ物の行く先、自分が好きな十勝を知ってほしいという思いで、Airbnbで農家民泊を始めた情熱の持ち主だ。
著書を書くにあたって、日々の食事のレシピ、皿の選び方、美容のこと、ランニングのことやファッションなどの暮らしを改めて見直したという高山さん。今回、食材が生まれる場所で、高山さんは新たに何を感じるのだろうか。
チェックインまで時間があるので、まずは「友夢牧場」(住所: 北海道上川郡新得町上佐幌基線108 TEL:0156-69-6006 )へ。こちらでは、900頭以上の牛が飼育されており、牛舎の見学、搾乳体験、仔牛の乳やり、搾りたてミルクの試飲ができる。搾乳体験では、はじめは「痛くない?」と牛に話しかけながらおそるおそる触れていた高山さん。次第にコツをつかみ、最後にはリズミカルに搾れるように。
次に仔牛の飼育施設に向かうと、10日以内に生まれた仔牛たちが小さな小屋に入れられて並んでいた。高い声で力強く鳴く声がそこかしこから聞こえる。まだへその緒を付けてプルプルと震える仔牛を見つけて「何時に生まれたんだろう。この子」と高山さんが驚いていると、なんと2時間前に生まれたばかりとか。哺乳瓶を差し出すと、途端に元気よく吸い付き、2リットルものミルクをぐんぐん飲んでいく。「乳牛とその仔牛を見て。そして役目を終えた牛はお肉になることを知り。搾った温かい牛乳に触れたら、まさにいのちを“いただきます”しているのだと実感しました。牛の一生を見学しているよう」
感動の余韻に浸りながらリスティングへ。広大な畑の間を走る道路を進んでいくと、「とやま農場」の文字が見えてきた。車から降りると、農作業中だったホストの外山さんが出迎えてくれた。案内されたリスティングは、キャンピングトレーラーを利用してご家族でDIYで作り上げたかわいらしいコテージ。大きな窓には、地平線まで広がる畑が! 夕暮れを経て夜になり、街灯のないリスティングの周辺は闇と静寂に包まれていった。
ホストの外山さんの「十勝は北海道の他の観光地と比べて印象が薄いと思われがちなのが残念で……。ぜひ、夜はうちの食事ではなく、いろんなお店や食材の味を味わってみてください。きっと十勝の良さを知っていただけると思います」との思いを受け、高山さんが準備したのは晩酌のためのおつまみ。今日のメニューは、Instagramに毎日アップされる旬の野菜をふんだんに使った彩り豊かな料理“みやれゴハン”北海道バージョンだ。地方に行くとチェックするという産直に今回も寄り道し、購入したミディ大根やトマト、キュウリなどの新鮮な野菜を手早く盛り付けて、地ビールで乾杯。「ビールが本当に大好きで。どうおいしくいただくかを常に考えています。走るのも、仕事もこの一杯のためです(笑)」。そう言いながら満面の笑みで飲み干した。
明日の朝も日課のマラソンをするべく、ほろ酔い気分で「おやすみなさい」
朝5時。今日も高山さんの朝は早い。空が白み始めたと同時に、リスティングを飛び出した。一列に並んだ白樺の白い幹を横目に、大平野を力強く蹴り上げながら前に進む。「朝日を浴びると元気になるんです。だから大切な撮影の前にはどんなに早くても必ず走ります」と高山さん。太陽の光を浴びながら、体を動かすと全身の血流が良くなり、顔色も良くなってむくみも取れるのだとか。「旅先でのランニングこそおすすめです。その土地の空気を感じながら走るのって最高に気持ちがいいですよ」
ランニングから戻ると、お腹はすっかりペコペコに。ホストの外山さんの収穫をお手伝いするために、宿の隣にあるビニールハウスへと向かう。色とりどりのトマト、大ぶりなズッキーニ、つやつやとしたナスなど、旬の夏野菜がいっぱい。自宅でも野菜を育てている高山さんは興味津々で、特徴や育て方など、ホストの外山さんに質問をどんどん投げかける。青々と茂ったパクチーを前に、「私も育てているのですが、こんなに元気に育てるには?」と高山さん。それに対して外山さんは、「成長がいいのと味がいいのは違うので、おいしく育てるには、実は水をやりすぎない方がいいんですよ」と自宅で簡単にできるコツを教えてくれた。
ホストファミリーとの朝ごはんの時間にも、おいしいものに貪欲な彼女からの質問は絶えない。「このドレッシングの作り方は?」「野菜の甘みを引き出すには?」。そんな高山さんからの質問に対し、外山さんのお母さんは笑顔でレシピのメモを渡しながら丁寧に作り方をレクチャーしてくれる。素材の魅力を引き出すレシピは、さすが生産者ならでは。
朝食の時、外山さんが教えてくれた。「当たり前に食べられる食料を生み出すために、どんな仕事を農家の人がしているのか。植物でも動物でも、食べることはいのちをいただいくということ。うちがしていることはごく一部ですが、感じてもらえたらいいですね。これからも家族みんなでアイデアを出し合いながら、十勝のこと、農業のことを知ってもらえる、心地よい場所にできればと思っています」
“生産の現場”を知る体験は、農家民泊でしかできないこと。「どんな風にどんな思いで作っているのか、どんな労力がかけられているのか……。それを自分のフィルターを通して知れたのは本当に貴重な体験でした。東京に戻って牛乳や野菜を見るたびに、今回の体験を思い出すことでしょう。今まで以上に大切にいただきます」
「紫竹おばあちゃん」の名で親しまれる紫竹昭葉さんが20年以上かけてこつこつと作り上げたお花畑。15000坪の広大なガーデンには、約2500種の花々がすくすくと育ち、季節ごとに表情を変えながら出迎えてくれる。
住所:北海道帯広市美栄町西4線107
TEL:0155-60-2377
有名人も多く訪れるジンギスカンの名店。新鮮で柔らかなお肉は、しょうゆベースの甘みのあるタレとの相性抜群。一人前でジンギスカン500円、ラムジンギスカン650円(2017年8月7日時点)とリーズナブルだ。
住所:北海道帯広市清川町西2線126
TEL:0155-60-2058
市内地に立地する競馬場で、レースはほぼ通年の土・日・月曜に実施。ここでしか見られない「ばんえい競馬」も開催している。1トンを超える馬が砂煙を上げながら鉄ソリを引いて力走する姿は迫力満点だ。
住所:北海道帯広市西13条南9丁目
TEL:0155-34-0825
高山 都さん
ビューティーモデル、ドラマや舞台の出演、ラジオ番組のパーソナリティなど幅広く活動。趣味であるランニングと料理をはじめ美しく暮らすヒントが詰まった、初の著書『高山都の美 食 姿 「したたかに」「自分らしく」過ごすコツ。』を2017年6月に刊行。
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URL:https://www.instagram.com/miyare38/