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Guest Story
東京・代々木八幡にあるイタリアンレストラン「LIFE」のオーナーシェフ、相場正一郎さん。そのライフスタイルが注目され、シェフ業に留まらず多忙を極める相場さんには、日常生活を離れてリラックスできる場所がある。それは栃木県那須町にある、相場さん一家が“山の家”と呼ぶもうひとつの拠点。特に予定のない週末にゆっくりと過ごすこのデュアルライフを、相場さんは「非日常と現実の間」と表現する。
このような“第2の家”を気軽に持てるのもAirbnbの魅力。今回、相場さん一家がAirbnbで予約した奈良県吉野郡川上村のリスティングも、まさにそんな場所だ。携帯電話の電波もほとんど届かない山の上の古民家で、昔ながらの田舎暮らしを体験できる。相場さん一家にとって初となる本格的な田舎暮らし。相場さん、奥様の千恵さん、長男の日和くん、長女の葉和ちゃんは、那須とは違う “第2の家”でどんなデュアルライフを送るのだろう。
新大阪駅からレンタカーを走らせ川上村へ。風景は町並みから徐々に田園風景に変わり、ついには山道に。そんなのどかな村の入り口で、小さな朝市を発見。
「せっかく来たんだから、地元の食材で料理をしたい」と立ち寄った。毎週土曜に開催される「やまいき市」(住所:奈良県吉野郡川上村西河733、TEL:0746-58-9013)では、地元のおばあちゃんたちの家庭菜園で採れた余剰野菜を売っている。スタッフと話をしながら野菜を選んでいた相場さん。「こっちの人は、自分たちの野菜が特別なものとは思っていないんですね。こういう地元の食材が身の回りにあって、分け合いながら生きている。すごくうらやましいですよね」
さらに山道は車一台がやっと通れるほどとなり、やっと到着したのは、日本の原風景が残る山里にたたずむ古民家。元々は山行き(木こり)の家だったという建物で、ホストの横堀さんご夫婦が少しずつ直しながら使っているという。土間や縁側などの昔ながらの造りをそのまま生かし、また、家具や食器類はこの家に残っていたものや村にあったものを使い、空間の雰囲気を崩さずにリスティングを仕上げている。相場さん一家は、川のせせらぎが聞こえる縁側でおしゃべりしたり、ハンモックに揺られたりして、さっそくくつろぎモードに。
ひと休みしたところで、リスティングのすぐそばにある中奥川へ。翡翠色がきれいな川を泳いだり、岩場から淵にジャンプしたり、おやつのスイカを冷やしたり。那須の別邸に行くときもよく川遊びをするという相場さん一家。「家族と一緒にいるときも、川とか海とか、心地よさを感じる場所にいたいんですよね」と笑う。
リスティングに戻ったら、男性陣は力仕事。ここでは暖炉やかまど、ピザ窯にお風呂と、生活のさまざまな場面で使うため、たくさんの薪が必要になる。「足を開いて、腰からストーンって斧をおろすんだよ」とホストの横堀さんに教えてもらった日和くんは、めきめきと上達。楽しそうにどんどん割っていく。薪に使うのは、この辺りの特産のヒノキやスギ。割るとふわりと香りが広がる。
この日のメインイベントは、地元の野菜を使った相場さんの料理。キッチンには調理道具や食器類が充実。家電は必要最低限だけれど、代わりに薪ストーブや七輪などを活かしながら、チキンと野菜のロースト、アサリとエビのパスタ、夏野菜のグリルなどを、次々に外に出したテーブルに並べていく。完成したら、ホスト家族と乾杯! おしゃべりをしながら楽しい夜を過ごした。
東京で作る料理と田舎で作る料理は違う、という相場さん。「お店のためにと考えると、インパクトの強い料理になったり、変わった食材や流行りの食材を使いがち。でも、田舎に行くと採れたもので料理をする。あるもので作ることになるんですよね。それが最近は自分のなかで楽しいなと思うんです」。東京では新しいものをどんどんと取り入れる、それに対し、田舎ではそこにあるもので工夫をする。それはきっと生活のあらゆる面にも共通することなのだろう。
すっきりと目覚めた朝は、かまどでの炊飯に挑戦。「チリチリって音がしたら炊けた合図だよ」と、ホストの横堀さんと一緒に竹でお米の音を聞く葉和ちゃんの姿はすっかり様になっている。ふっくら炊きあがったごはんでおにぎりをにぎったら、縁側に移動。青空と豊かな緑、そして、古民家というシチュエーションが日本らしい朝ごはんのおいしさをアップさせてくれる。「かまどはとても印象的で、子供たちに貴重な体験をさせてあげることができました」と言う千恵さんにとっても、かまどは初めての体験だったそう。
1泊2日はあっという間。ホスト家族とお別れをして帰路についた相場さん一家は、途中で「松屋」(住所:奈良県吉野郡川上村大字大滝493、TEL:0746-53-2170)に立ち寄り、茶粥と柿の葉寿司でランチ。柿の葉でサケとサバの寿司を包んだ柿の葉寿司は、川上村が発祥。林業が発達し、田んぼがなくお米が貴重なこの辺りでは、お米をふやかした茶粥も日常的に食べられているのだそう。食事を終えた相場さん一家がお店を出ようとすると、思いがけず店員さんの温かさに触れた。「お店の方が名産のお菓子を持たせてくれたんです。味もしかりですけど、そういう心遣いがうれしいですね」
相場さんはデュアルライフで、東京のいいところと地方のいいところの両方を感じながら生活をしているという。それはこの2日間でも大いに感じたこと。
お気に入りのリスティングが見つかれば、そこは何度でも帰りたくなる“第2の家”になる。実際に家を何軒も持つのは難しいけれど、Airbnbでお気に入りの “家”を見つけて、世界中でデュアルライフを楽しんでみては。
江戸時代に湯治場で有名だった温泉が昭和48年に復活させた山鳩湯。100%かけ流しの炭酸泉は神経痛などに効く。ケヤキで作った丸木風呂からは、大迫貯水池と豊かな緑を眺めることができる。地元で採れた食材で作る料理も名物。
住所:奈良県吉野郡川上村入之波
TEL:0746-54-0262
インテリア関係の仕事をしていた山本さんが、地元のスギやヒノキを使ったものづくりをしたいとスタートしたアトリエ兼ショップ。一点一点手作りした小物やスツールは、素材の優しさやぬくもりを感じることができる。
住所:奈良県吉野郡川上村伯母谷201
TEL:090-5064-4334
川上村の豊かな森と水の恵みを体感学習できる施設。大迫力のスクリーン映像や吉野川・紀の川源流の森を再現したジオラマ、川に生息する生き物の水槽、縄文時代から現在まで続く村の人々の暮らしなど、さまざまな展示を楽しめる。
住所:奈良県吉野郡川上村迫1374-1
TEL:0746-52-0888
相場正一郎さん
イタリア、トスカーナ地方での料理修行後、2003年、代々木八幡にカジュアルイタリアンレストラン「LIFE」をオープン。現在は「LIFE son」「LIFE Sea」など5店舗を運営している。イベント開催やレシピ本の出版、フリーペーパーやオリジナルプロダクトの制作など、幅広く活動中。
LIFE
URL:http://www.s-life.jp/
Instagram
URL:https://www.instagram.com/aiba.shoichiro/