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Guest Story
今回、参加してくれたのは、ビューティライターの戸塚真琴さんと、キュレーターの和田朋子さん。公私ともに仲の良い、姉妹のような二人。最近Airbnbで宿泊先を見つけて台湾に出かけたという、生粋のAirbnbユーザーでもある。しかし、東京を含む12都市で昨年から提供がスタートしたばかりのAirbnbの「体験」は、二人とも初体験。「職業柄、新しいモノやサービスをウォッチしておきたいと思って、去年からずっと気になってはいたんです」と話す戸塚さん。
和田さんも「最近、ジムのボクササイズをちょうど楽しんでいたんです」とのことで、スポーツのカテゴリーの中から見つけたのが、“アクション映画のトレーニング。ここのところ体を動かすことに興味があると話していた和田さんを誘い、注目の「体験」に申し込んだのだそう。
では早速、初体験の密着レポート開始!
当日、開催場所に指定された都内のトレーニングスタジオに現れた二人。エントランスで二人を笑顔で出迎えてくれたのが、今回ホストを務めるチャックさんだ。最初は緊張した面持ちだった二人も、チャック先生の「はじめまして、チャックです!」という日本語にホッとした様子。この日の参加者は二人だけだったものの、最大8人まで同時参加が可能。他の参加者がいる場合は、お互いに簡単な自己紹介からスタートし、緊張をほぐしてから始めるのだとか。
今回ホストを務める、アメリカ出身のチャックさんは日本在住15年。実はテコンドーの元全米チャンピオンで、アクション俳優、スタントマンでもある。日本ではスタントスクールの講師としても活躍中で、テレビや映画、コマーシャルなどに多数出演しているそう。チャックさんにテコンドーやアクションを教わるために、日本まではるばるやって来るアメリカ人も多いそうだ。
まずは、動きやすい服装に着替えて準備。「いつも運動していますか?」「ブジュツはやったことありますか?」と二人に対しチャックさんが軽くヒアリング。それに合わせて、チャックさんがメニューを考えてくれる。床には転倒しても痛くないようにトレーニング用マットが敷いてあるので初心者でも安心。軽く走ったり、ストレッチなどの準備運動を10分ほどして体を温める。「体が硬いからツライ」「もはや、ちょっと疲れたかも」と早くも弱音を吐く二人。
パンチの構え方、打ち方、かわし方、受け方、リアクション(顔を殴る、殴られる)を教わる。単純に攻撃したり、やられるだけではなく、「カメラからどう見えるか」というカメラアングルを意識した立ち回りなどを、プロの視点で教わるため、「実際は、すごく遠いところからパンチ、でもカメラからは顔に当っているように見える」など、なかなか知ることのできない、アクションシーンの秘密がわかるのも面白い。チャックさんのお手本を見てから、ペアになって実践する。チャックさんが二人の動きを見て、「いいじゃん、いいじゃん!」と声をかけて盛り上げてくれるので、楽しくトレーニングできる。
ウォームアップと、基本のアクションの動きを教わっているうちに、気づけばもう1時間経過。最初は弱音を吐いていた二人も、アクションの楽しさにハマってきた様子。するとチャックさんが二人のアクションをスマホで撮影し始めた。「わぁ、画面を通してみると、こんな風に見えるんだ!」と、みんなで自分の動きを確認しながら、なぜか大笑い。「この悪役、弱そう…!(笑)」と自分のパンチを見て笑う戸塚さん。チャックさんは、「ダイジョブ! この時、もっと腕が伸びればかっこいい! あと、もう少しリラックスして動くと、もっとかっこい!」とアドバイスをしてくれる。実際、チャックさんの言う通りにやってみると、画面上の二人の動きも表情も、だんだんとアクション俳優のようになってきた。
10分ほど休憩を取った後、キックのトレーニングに入る。なかなか足が上がらなかった二人だが、利き足の蹴り、逆足の蹴り、回し蹴りを教わるうちに、徐々にと慣れてきて動きにキレの良さが出てきた。チャックさんが構えるミットに次々とキックを叩き込む二人。パシッと小気味良い音がスタジオに響き渡る。さらにキックのかわし方も習得し、お互いに蹴り役とかわし役になって、スタジオ中を動き回る。
いよいよ本格的なアクションシーンの練習に入る。パンチとキック、フットワークを組み合わせての動きだ。一人ずつ先生とペアを組んで感覚を掴んでから、二人でペアになって練習。チャックさんの指導にもだんだんと熱が入ってくる。二人の動きも最初と比べると見違えるほどに。いつのまにかチャックさんの掛け声にもスピード感が増し、「GOOD JOB! Yeah! OK GO!!」など英語も飛び出す。
一通りのトレーニングが終わったら、いよいよチャックさん監修のもとショートムービーの撮影がスタート! 東京を舞台としたストーリー仕立ての二人のバトルムービーだという。チャックさんが英語でアテレコをやってくれるので、二人は初の口パク演技に挑戦。最後のオチは、攻撃にやられた和田さんが倒れ、戸塚さんがその姿を上から見下ろし「フンッ(と鼻で笑い)、Welcome to Tokyo! TOMOKO!」と、強めのセリフを言い放って終わる、というもの。口パクで「ウェルカム・・・」と相手をにらみつける戸塚さん……、ところがつい途中で笑ってしまって何度もリテイク。最後に出来上がった映像を見て、二人は「すごい!」「ほんとに映画のワンシーンみたい!」「吹き替え版みたいで面白いね!」と、涙が出るほど爆笑していた。
最後はクールダウンのストレッチをして、今回の体験は終了。
「アクション映画のトレーニングって難しいと思っていたのですが、チャックさんがお手本を見せてくれたので、それを真似しながら動くうちに、できるようになっていきました。 運動が不得意な人でも、トレーニングというより、楽しめる体験でいいなと思いました」と戸塚さん。和田さんは「思いっきりパンチやキックを繰り出して、ストレス発散できました! 最後にショートムービーまで作ってもらえて、アクションスターに近づけた気がしました(笑)。体験のお土産として、モノではなく、自分たちのムービーを持って帰ることができるのも魅力的でした」。こちらの体験は海外のゲストからも好評のようで、中には「タイトルやエンドロールを付けたい、音楽も付けたいから明日も来る、というような人もいるくらい」とチャックさんは話す。アクションの楽しさをみんなに伝えたいと話すチャックさんは、今後、「もっと本格的な撮影・編集機材を用意して、数日間かけて、その人のためだけの本格的なアクション映画をつくれるような、新しい「体験」の提供も考えています」と目を輝かせる。
現在は、「旅先でも体を動かしたい」という、運動目的のゲストが多いそうだが、実際にトライするととても喜んで帰っていくという。「海外からの旅行者だけでなく、ワークアウト感覚で日本に住んでいる人にも気軽に体験してもらいたい」と、チャックさん。