Reborn-Art Festival × Tカード

子どもたちがつくるアート作品

進行状況

2017年6月24日~25日の2日間にわたり、本プロジェクトの第一回目となるワークショップが石巻市にて開催されました。
参加してくれたのは、石巻市在住の子どもたち(小学4年生〜高校3年生)6名です。
今回の目標は、本プロジェクトでつくる「地域に根差しながら将来にわたって地域活性化の源となるようなアート作品」をどんなものにするかをみんなで決めること。
Reborn-Art Festival × Tカードのデザインを手掛けたgoen°のアートディレクター森本千絵さんとオクダサトシさんをナビゲーターに迎え、さまざまなプログラムを行いました。

まずはじめに、今回のプロジェクトでアート作品を設置する予定地となっている「牡鹿ビレッジ」(牡鹿半島・荻浜)を見学に行きました。
Reborn-Art Festivalのコンセプト「生きる術」を体現する場として、アート作品の展示やイベントのためのスペース、食堂などが建つこの場所は、イベントの会期終了後も石巻のみなさんによって活用されることになっています。まさにここから様々な循環が生まれるという場所に今回、みんなで作るアート作品が展示されるのです。

牡鹿ビレッジから歩いて近くの浜辺に行くと、そこに大きな白い鹿のオブジェ(Reborn-Art Festival 2017の参加アーティストである名和晃平さんの作品)を見つけてびっくり。見慣れたはずの石巻の風景に、ふいに現れた「アート」の存在に、みんな圧倒されたよう。ここ牡鹿半島で何かが始まる予感に胸を膨らませていました。

その後は、今回のワークショップの活動拠点であるサン・ファン館へ。すぐに、どんなアート作品をつくるかみんなで話し合いをするのかな?と思いましたが、意外にも、そのあと行ったのは身体を使うプログラムの数々。ダンスカンパニー「コンドルズ」のダンサーでもあるオクダサトシさんに導かれ、身体の動きだけで伝言ゲームをしたり、自分の名前をダンスで表現したり……。最初はみんな恥ずかしそうでしたが、一緒に身体を動かすうちに思わず笑顔に。みんなの身体がどんどん動くようになっていき、それにともなって心も拓かれていくようでした。

ワークショップの後半では、いよいよ、アート作品の制作にとりかかることに。
まずは前日にみんなが浜辺で拾ってきた素材をつかって、作品づくりをしました。はじめは自分が拾ってきた素材で自分だけの作品を、次に、みんなの素材を集めてみんなで一つの作品をつくっていくことに。

どんなものにするか最初は分からず並べていくうちに、「船かな」「生き物がいいよね」「魚みたい」とさまざまなアイデアがでてきました。森本千絵さんが、「じゃあ、海の生き物みたいな、大きな船にしようか」と言うと、みんな具体的なイメージが見えてきたよう。最後はとても素敵なオブジェが完成しました。

ワークショップ終了後に「個人個人がそれぞれお手本通りになにかを作るのではなくて、みんなでセッションしながら最後に何を作るかを決めていくようにしたかったんです」と話していた森本千絵さん。 まさにセッションから生まれた素晴らしいアート作品に、作った子どもたち自身がいちばん驚いた様子。「こんなすごいものができると思わなかった」と、とても誇らしげでした。途中、様子をみにきた小林武史さんも「これはすごいものができたね!」と感嘆の声をあげていました。

こうなると子どもたちのワクワクはとまりません。
「もっと立体的なものもつくりたいな」「公園をつくれないかな?」「ステージがいい!」「神社みたいなものでもいいかも」など、みんなからさらなるアイデアが次々と溢れだします。
共通していたのは「みんなが集まってくるようなものがつくるたい」という意見。そこで「じゃあ、お祭りの櫓(やぐら)もつくってみようか?」ということに。

早速、みんなそれぞれが「こんな櫓(やぐら)があったらいいな」と思うものをスケッチし、それを一つの作品にまとめようということに。橋や、魚の大群、鹿や、鳥居。それぞれ思い思いのモチーフをかき、それをコラージュしてみんな櫓(やぐら)の完成予想模型を組み立てていきました。

「素材は自然のものを使うのがいいと思う」「貝殻とか流木とか」「提灯の代わりに浮きをつかったらいいかも」
模型を完成させたあとも様々な意見が飛び出しました。みんなの目にはその周りでみんなが盆踊りを踊っている、そんなシーンが浮かんでいるようでした。

「アートって、よくわからないから……」「なにをつくるか考えるの難しそう」
始めはそんな風に話していた子どもたちでしたが、2日間のワークショップを通して、素晴らしいものを生み出してくれました。
今回、子どもたちから生まれた「海の生物のような、船のようなオブジェ」と「櫓(やぐら)」をどのように展開していくか、現在、プロジェクト側でフィジビリティチェックを行っています。今後のプロジェクトの活動予定も引き続き、こちらのサイトで報告していきます。