炊きたてのごはんと、お漬け物。
それさえあれば他に何もいらない――なんて言葉を聞くと、
そんなのウソでしょって思っていた。
土鍋でごはんを炊くようになるまでは。
引っ越し祝にもらったごはん炊き用の土鍋。
さっそく炊いてみようと、
いつもどおりにお米をといで、小1時間ほど水につける。
炊いてみたら、びっくりするほど簡単だった。
かかる時間は10分程だし、土鍋から蒸気が上がる音を聞くのも楽しい。
驚いたのがその美味しさ。
昨日まで食べていたのと同じお米なのに、味がまったく違う。
そして、お米そのものを味わいたいから、
お漬け物とか、海苔とか、生卵と一緒に、シンプルにごはんを食べたくなる。
おかずやお味噌汁はいらないってこういうことだったんだ。
それ以来、またたびのつるで編んだという米研ぎザルや、
桜の木からつくったというしゃもじを手に入れて、
毎日せっせとごはんを炊いている。
ずっと楽しみに待っていた新米の季節。
いろいろなお米を炊き比べて味わいたい。
お米のひと粒ひと粒が立っています。
お箸やお茶碗にもこだわりたくなります。