お正月のおせち、春のお花見、秋の運動会。
塗りの重箱が活躍するのは、そんなイベントのとき。
子どもの頃は、母がつくってくれた料理の詰まった重箱のフタを、
わくわくしながら空けるのが楽しみだった。
結婚して初めてのお正月を迎えるときに、小ぶりの重箱を買った。
けれど、使ったのはそのときだけ。
それ以来、ずっと棚にしまったままになっていた。
ところが、最近友達にランチに招かれたら、
テーブルのまん中に3段のお重が。
中は、おにぎりとだし巻き卵、そして筑前煮。
なんてことないメニューなのに、新鮮で上品なおもてなし。
別にあたたかいお椀を出してもらって、大満足のランチだった。
友達いわく、和菓子を盛りつけてもさまになるし、
近しい人におすそわけを詰めたりするのにも便利だとか。
それ以来、わが家の重箱が久しぶりに日の目を見ている。
いつものメニューがぐっと華やかになるし、
フタをあけるときの家族の笑顔を見るのも嬉しい。
フチの組子がデザインのポイント。
内側の朱塗りが食材を引き立てる。